
使う
【足元が不安なハイカーの救世主】サロモン「X ULTRA」はなぜ選ばれているのか
今シーズンこそ、装備全体を見直して足元を軽くしたい。だけど、軽いシューズではサポート性に不安があって…と思い切れない登山者は少なくないはず。そんな足元に不安を抱えるハイカーのみなさんに朗報です。軽いけど、サポート性や耐久性も犠牲にしていない。そんな欲張りなシューズが、サロモンからリリースされました。
その名は「X ULTRA 5 GORE-TEX(エックスウルトラ5ゴアテックス)」。サロモンが誇る大定番シリーズの最新作です。今回は山のベテランたちにその魅力を教えてもらいました。
なお、記事の最後にはYAMAPユーザー限定の「モニター募集」もあります。今回は、サロモンのシューズだけでなく、バックパックのモニターも同時募集の大チャンス! ぜひ最後までお読みください。
目次
そもそも、サロモンの「X ULTRA」ってどんなシューズ?
発売にあたり、今回はメーカーの開発担当者、ショップスタッフ、アウトドアライターの3名が集結。それぞれの目線からこのシューズの魅力について掘り下げてもらいました。

(左)「サロモン」MDの山村拓さん。頻繁にフランスのサロモン本社にも足を運ぶ、サロモンの今を日本で一番知る男。(中)「さかいやスポーツ本店」のシューズ売り場担当の斎藤勇一さん。長年、登山者の質問に答え続けてきたレジェンド店員さん。(右)アウトドアライターの池田圭さん。トレッキングブーツから軽量なモデルに移行する際には、かなり悩んだ経験あり
「X ULTRAシリーズ」はサロモンの看板モデル

X ULTRA 5 MID GTX ¥25,300(税込)
「X ULTRAシリーズ」は、多くのトレッキングシューズを手がけるサロモンを代表するモデルです。
2012年からスタートした人気シリーズで、ヨーロッパアルプスの名峰・モンブランを踏破するためのシューズとして産声を上げ、玄関を出てから帰ってくるまで一足で済む、いわば「街から山に行くこと」をメインコンセプトにデザインされてきました。
サロモンには「X ULTRAシリーズ」専門の開発チームがあるほど力を入れており、これまで様々なアップデートを重ねて、ブラッシュアップを繰り返してきました。
斎藤:X ULTRAといえば、サロモンの革新的なブランドイメージをそのまま具現化している、とてもユニークなシリーズですよね。
池田:シリーズ初期はヨーロッパブランドらしいテクニカルなシューズのイメージでしたけど、新作「X ULTRA 5」も変わらず、そのあたりを意識して開発されているのですか?
山村:じつは、彼らには今そういう意識はあまりなくて。以前は、自分たちで「ヨーロピアンテクニカルアウトドアブランド」と名乗っていたのですが、最近は「モダンライフスタイルアウトドアブランド」と言い換えて発信しています。
つまり、今まで積み上げてきたテクニカルな要素は生かしつつも、より気軽に誰もが使いやすいモデルを打ち出していこうという開発コンセプトに変わってきているんです。
齋藤:近年のトレッキングシューズの市場ニーズは、実際、そっちのトレンドに変化してきている感じがすごくありますね。
人気シリーズの最新作はどう生まれ変わった?

シリーズの人気を加速させた「X ULTRA 4」
過去のX ULTRAシリーズを振り返ってみると、「X ULTRA 3」までは長く歩くことを重視してデザインされていました。しかし、医師と共同開発した「X ULTRA 4」でコンセプトは大きく変わり、捻挫抑制に特化した独自のサポートシステムをプラス。続いて、縦方向への登りに強い「X ULTRA アルパイン」というモデルも登場しています。
齋藤:X ULTRAは、「3」から「4」になったくらいから、気軽に出かけるライトハイクからもっとハードな使い方まで、幅広いシーンで使えるシューズに生まれ変わったなという印象がありました。今回の「5」は、その方向性をさらにブラッシュアップしてきたように感じます。
山村:たしかに、「3」から「4」へのアップデートは、X ULTRAシリーズの大きな転換点だったと思っています。その大きな流れの中で生まれた「5」は、「山から街にも行けるよ」というコンセプトも加わって、より幅広いユーザー層を想定してデザインしています。
山村:シャーシの形状と、シューレース(靴紐)を引いた時にサポートパーツがグッと持ち上がって、足を包むようにホールド感を高める構造は、「4」や「アルパイン」と同じものを踏襲しています。反面、「4」で採用されたヒールカウンターは廃止して、より歩きやすかった「3」の形状に戻しているのもポイントです。
つまり、「X ULTRA 5」の特徴をざっくり説明するならば、「3」までの歩きやすさを残しながら、サポート性の高い「4」とアルパインのいいところどりをしたもの。さらに、軽さと耐久性も大幅に向上させています。
話題作「X ULTRA 5 GORE-TEX」について大いに語ろう
それではこれから「X ULTRA 5 GORE-TEX」の具体的な特徴を見ていきましょう。
従来のシリーズと比べて一番大きな変更点は、アッパーに超軽量なのに耐摩耗性と耐久性に優れた素材「Matryx®︎(マトリックス)」を採用したことです。
インナーにはGORE-TEXメンブレンをインサートしており、雨や濡れに対して強く、高い通気性も兼ね備えています。
池田:市場にマトリックスを使っているモデルが徐々に増えてきていますが、もっとテクニカルでハイエンドなモデルに採用される素材のイメージでした。いろいろな人が履くためのモデルにマトリックスが使われているのは珍しいですね。
山村:「5」がアッパーをより丈夫な素材に見直したのは、まさに今までよりも幅広い使い方をするユーザー層に手にとってもらえるように、というデザインコンセプトがあるからです。
山村:つまり、外的な要因から足を保護する耐久性を持ちながら、防水性、通気性も高く、トレランシューズ並に軽量な高機能シューズなんです。
斎藤:店頭では、もちろん「初めの一足」としてもおすすめしていますが、いろいろな靴を履いた経験があったうえで「これでいいんだ」と選ぶお客さんもすごく多いモデルなんです。ユーザーの経験値次第ではありますけど、ライトハイキングから富士登山、アルプスの縦走まで、使用想定シーンが非常に幅広いので、店頭でもいろいろなレベルや用途の方に提案させてもらっています。
池田:僕らライターが登山メディアでファーストシューズとしておすすめすることが多いシリーズなんですが、実際は初心者からベテランまで、ユーザーの幅がすごく広そうですね。
山村:経験値の高いハイカーにも選ばれているという事実は嬉しい限りです。
高いサポート性を生む、サロモン独自のテクノロジー
次に目につくのが、サロモン独自のテクノロジー「Active Support(アクティブサポート)」と「Advanced Chasiss(アドバンスドシャーシ)」を組み合わせたサポート性の高さ。
アドバンスドシャーシとは、ミッドソールに内蔵した土踏まずの両サイドをホールドするような形のサポートパーツのこと。不安定なトレイルでも横振れを防ぐ役割を果たし、足の可動域や自由を損なうことなく、捻挫などのトラブルを未然に防いでくれると言います。
池田:外側のシャーシが垂直に入っている形状って、他にあまり見ないものですね。捻挫が予防できる機能があることは、軽量なシューズに不安を感じて履き替えを躊躇している人の背中を押してくれそう。
斎藤:元々、サロモンのシューズは「センシフィット(薄くて伸びる素材を独自技術によって圧着することで、抜群のフィット感を実現する機能)」が搭載されていて、履き心地とフィット感が高い印象でしたが、このパーツがプラスされてサポート力がより強調されました。分かりやすい特徴があるシューズなので、特に足元に不安のあるお客さんは手に取りやすいようです。
滑りづらいソール形状も怪我防止にひと役買う
アウトソールに採用しているのは、独自に開発した「コンタグリップ」。滑りやすい路面に強く、特に下りでのグリップ力に定評のあるソールです。
山村:色が違うパーツだけ、周囲より少し深めの構造になっており、この小さな違いが大きなグリップ力を生みます。X ULTRAはハイキング向けのラインですが、トレランシューズの開発で培ったノウハウが随所に生かされています。
人気シリーズならでは、フィット感と歩きやすさも継承

(左)X ULTRA 5 MID GORE-TEX メンズ (右)X ULTRA 5 MID GORE-TEX レディース
いくら性能が高いシューズでも、足に合わなければ気持ちよく履き続けることはできません。その点、フィット感を選べるのも「X ULTRA 5」の特徴の1つ。スタンダードなレギュラーフィットに加え、ゆったりとしたワイドフィットを選ぶこともできます。
斎藤:まずはシンプルに履いた瞬間の履き心地の良さ、履きやすさ、フィット感の良さこそが、このシリーズが定番たる所以でしょう。
山村:そこはこだわっている部分ですね。スタンダードなサイズ以外に、日本人に多い甲高幅広の足にも合いやすい、ゆったりとしたフィット感のワイドモデルも取り揃えています。
池田:僕の友人にも、「足に合うんだよなあ」と、X ULTRAシリーズばかり履き続けているハイカーが何人もいます。なるほど、そういう理由なんですね。
岩場でも不安を感じないのに、長い距離でも歩きやすい秘密
前出のアドバンスドシャーシの働きで、岩場の通過時も横振れがないので足が決まりやすく、見た目以上に安定感を与えてくれるのも特徴です。
かといってガチガチに硬いソールやカップではありません。横方向のねじれには強いのですが、ソールにプレートが入っていないので、歩行時は自然な足の動きができます。硬い登山靴に慣れていると初めは少し不安かもしれませんが、登りまでのアプローチで長く歩いても疲れにくいメリットを感じられることでしょう。
斎藤:マーケット全体を見ても、昔みたいなガチガチで曲がらないシューズは減ってきています。そんな中、機能面でも、売れている数の面でも、X ULTRA 5はこの手のジャンルでベンチマークされやすいシューズだと思います。
池田:山を歩いてみると、捩れに対するサポートはしっかりしているのに、縦方向には柔軟性があって長い時間のアプローチも歩きやすいのがよくわかる。基本的な平均点がめちゃくちゃ高い印象です。
コスパの良さも魅力

登山専門店でも目立つ場所に置かれている(写真提供:さかいやスポーツ)
池田:この機能や素材使いでこの価格帯に抑えられているっていうのは、かなりお買い得感がありますね。
斎藤:実際にサロモン製品は買い求めやすい価格という点が、いろいろなレベルの方の選択肢に選ばれやすい理由の1つになっていますよ。特にファーストシューズを探している層には大きなポイントになると思います。マトリックスを採用していて、さらにゴア入りのミッドカットで25,300円、ローカットなら22,000円って価格はすごいですね。
山村:そうなんですよ、価格面はより多くの人に履いてもらえるように努力しています。
山岳大国フランスが生んだ革新的シューズ
トレランシューズでは少し頼りないけど、トレッキングブーツを履くほどではないな。そんな、受け皿となるシューズが少なかった曖昧なリクエストに、きっちりと応えられる機能を落とし込んで形にしたのが「X ULTRA 5 GORE-TEX」です。
サロモンが本拠地とするヨーロッパでは、日常生活と自然との距離が近く、日本よりもずっとライフスタイルとアウトドアとの境界が曖昧なのだそうです。
機能は必要最低限で軽いけど、押さえるべきところはしっかりしている。そんな相反する要素を併せ持った不思議な使用感は、この靴ならではのもの。こうした革新的なシューズが生み出せるのも、境界が曖昧な登山文化が根付く国で長年シューズを開発し続けてきたサロモンだからこそかもしれません。
サロモン「エアロトレック」&「X ULTRA 5 GORE-TEX」YAMAPユーザーモニター募集
今回の記事と、先週公開した「エアロトレック」の記事で紹介したサロモンの「シューズ」&「バックパック」をYAMAPユーザー限定でモニター企画を実施します!
モニターに選定された方にはサロモン「X ULTRA 5 GORE-TEX」や「エアロトレック」を、実際に登山で使用し、その使用感や感想をYAMAPの活動日記でレポートしてください。なお、お送りした「シューズ」や「バックパック」は、そのままプレゼントさせていただきますので、奮ってご応募ください。
【募集期間】2025年4月28日(月)から5月6日(火)まで
【募集人数】「X ULTRA 5 GORE-TEX」:4名、「エアロトレック」4名
*それぞれ別々に募集します。2つのアイテムの両方に応募することも可能です。
【応募方法】以下の応募フォームからご応募ください。
※お使いのブラウザでYAMAPにログインの上、アクセスしてください。
*それぞれ別々に募集しますので、両方に応募したい方は、ご面倒ですがそれぞれのフォームに記入してご応募ください。
(外部リンク)「X ULTRA 5 GORE-TEX」ユーザー募集フォーム
【応募条件】
ご応募いただいた後、選定された方にはYAMAP内メッセージにてご連絡させていただきますので、対応いただける方。(選定のご連絡は5月中旬頃を予定)
*選定された方のみご連絡させていただきます。あらかじめご了承ください。
・サロモン「X ULTRA 5 GORE-TEX」や「エアロトレック」を使用した山行での使用感・感想を、期間中(商品到着後〜6月中旬開催予定のオンライン座談会前まで)に、1回以上、活動日記として投稿いただける方。
・対象商品を使用した山行での使用感・感想を、6月中旬実施予定のモニター座談会(リモートで開催予定)や電話インタビューでお話いただける方。
・YAMAP MAGAZINEの記事やサロモンのホームページ等で、活動日記の情報(写真・テキスト等)、モニター座談会および写真の使用を許諾いただける方。
・その他、今回のモニター企画に関するYAMAPからのリクエストにご対応いただける方。
*本モニターの趣旨に外れている場合や、利用規約に違反している場合、 YAMAP運営事務局が不適切と判断した場合などは、応募資格を失うことがあります。
原稿:池田圭
写真:若林武志(YUKIMI STUDIO)
協力:斎藤勇一さん(さかいやスポーツ)、アメアスポーツジャパン(SALOMON)
編集・ライター
池田 圭
登山、キャンプ、サーフィンなど、アウトドア誌を中心に活動中。下山後に寄りたい食堂から逆算して計画を立てる山行がマイブーム。共著に『”無人地帯”の遊び方 人力移動と野営術』(グラフィック社)、編集を手掛けた書籍に『Two-Sideways 二刀流』(KADOKAWA)、『ハンモックハイキング』、『焚き火の本』、『焚き火料理の本』(ともに山と溪谷社)、『サバイバル猟師飯』(誠文堂新光社)など多数。
この筆者の記事をもっと読む公式SNSで山の情報を発信中
自然の中を歩く楽しさや安心して山で遊べるノウハウに関する記事・動画・音声などのコンテンツをお届けします。ぜひフォローしてください。